【問題】
バラモンの権威から脱却するにはどうすればいい?
【基本概念】
新宗教(仏教・シャイナ教)
【基礎知識】
BC6世紀になると、城壁で囲まれた都市国家がいくつも生まれ、BC5世紀の初めにコーサラ国を倒したマガダ国が有力となった。
※仏教(始祖:ガウタマ・シッダールタ)
動物を犠牲に捧げる供犠や難解なヴェーダ祭式、バラモンを最高位とするヴァルナ制を否定。極端な苦行や快楽などを否定し、心の内面から人々の悩みを解くことを重視。
バラモン教の祭式やヴァルナ聖典の権威を否定。肉体的苦行による霊魂の解脱と、不殺生の厳守を強調した。
【問い】
①その問題が生まれた背景は?
都市国家間の争いの中勢力を伸ばしてきたクシャトリヤ(武士階層)や、ヴァイシャ(商人階層)は、ヴェーダ聖典やバラモンに代わる信仰の拠り所を求めていた。これらの新興勢力の支持を背景に、いくつもの宗教が生まれた。
②その概念によってどのようにして問題が解決したか?
修行者だけでなく、一般の信者に対しても道徳的な生き方と慈悲の尊さを説いたブッダの教えは、都市住民の間に大きな支持を広げた。
③問題解決後にどうなったか?
ブッダの死後、ブッダの教えを構成に伝えるために仏典結集が行われたが、このような統一はその後消滅し、仏教は多くの部派に分かれた。仏教はその後インドから消滅したが、ジャイナ教は現在でも多くの信者がいる。
仏教やジャイナ教がバラモンの権威を否定しているのに対抗して、バラモン教も祭式至上主義から脱却して内面の施策を重視した「ウパニシャッド哲学」が生み出された。
このようなバラモン教の変化の中で、ヴェーダの神々に変わってシヴァ神やヴィシュヌ神が主神となるヒンドゥー教が芽生えた。
【学びの活用】
都市国家間の争いや国家間の交易が盛んになることによって、武士階層や商人階層が力を持つようになるのは他の古代国家と同じ構造。インド世界において彼らが乗り越えなければならなかった壁は、バラモンを最上位とするヴァルナ制。国家間闘争という争いの激化が、バラモン階層の力の源泉である祭式至上主義を相対的に衰退させていったと考えられる。新宗教の登場は、武士階層や商人階層が上昇するための観念的・制度的な基盤を形成する過程だったと考えられる。現代の身近な例に置き換えても、トップの交代や昇進・降格などの序列変化は各々の内面(非言語の世界)で、時々刻々と進んでいるが、現実化するためには、観念的(言語的)な裏付けは必要という点は共通。