manabilife

教育・仕事・生活

「学び直し中学公民」日本国憲法③基本的人権の尊重

①人権って何?

人権という考えが強く意識されるようになったのは、絶対王政だった17〜18世紀のヨーロッパ。人々は強圧的な政治に対して、市民革命をおこし、近代的な国民国家を作り上げた。

 

〈イギリス〉

・ロック(1632〜1704)

民主政治を主張し、アメリカ独立宣言に強い影響を与えた。

権利の章典

名誉革命によって権利の章典が制定され、国王の絶対的な権力を制限すると共に伝統的な権利が確認された。

「議会の同意なくして王の権利により法や法の執行を停止する権限があるかのようにふるまうことは違法である」(1条)

 

〈フランス〉

モンテスキュー(1689〜1755)

「法の精神」を著し、権力が互いに監視し合う権力分立の考えを説いた。

・ルソー(1712〜1778)

人民主権を唱え、フランス革命の考え方を導いた。「社会契約論」を著す。

・フランス人権宣言(1789)

 

アメリカ〉

アメリカ独立宣言(1776年)

われわれは、次にかかげる諸条項が自明の真理であること信ずる。すなわち、すべての人々は平等につくられ、造物主によって一定のゆずるべかざる権利をあたえられていること。それらのなかには、生命・自由および幸福の追求が数えられること。

 

〈ドイツ〉

・ワイマール憲法(1919年)

経済生活の秩序は、すべての人に、人にたるに値する生存を保障することをめざす、正義の諸原則に適合するものでなければならない。(151条①)

 

〈日本〉

大日本帝国憲法

国民には法律の範囲内において権利と自由が保証され、その制限には議会の制定する法律を必要とする。(法律の留保)

日本国憲法

西洋の人権思想に基づきながら基本的人権を「侵すことのできない永久の権利として信託されたもの」(97条)とし、多くの権利と自由を国民に保障している。

 

基本的人権の尊重

基本的人権の保障〉

日本国憲法は第3章で、基本的人権のすべての国民に保障すると定めている。

自由権(精神の自由・人身の自由・経済活動の自由)

「精神の自由」の一つである「表現の自由」では、表現の方法として言論、出版、音楽、インターネット、デモ行進などが含まれる。一方で、表現の自由は他人のプライバシーを侵害したり、社会の道徳や秩序を乱すそれれもあるため、他者の人権への配慮と良識が求められる。

法の下の平等

憲法が保障する平等とは投票や教育、雇用などの機会が等しいという意味。機会は平等に開かれているが、成績が違ってくるのはやむをえない。

(男女の平等)

1979年:国連で女子差別撤廃条約

1985年:男女雇用機会均等法

1991年:育児休業法(子どもが満1歳になるまで労働者に育児休業を認める)

1995年:育児・介護休業法(介護のための休業を定める)

1999年;男女共同参画社会基本法(男女のちがいを認めたうえで尊重し合う)

社会権生存権・教育を受ける権利・勤労の権利・労働基本権)

(25条)「健康で文化的な最低限の生活を営む権利」

(26条)「すべての国民は能力に応じて等しく教育を受ける権利をもつ」

(28条)労働三権団結権・団体交渉権・団体交渉権)

参政権

2015年:選挙権年齢の引き下げ(18歳以上)

(96条)憲法改正時の国民投票

(79条)最高裁判所長官の国民審査

(96条)地方公共団体住民投票の権利

・請求権

(32条)裁判を受ける権利

(17条)国家賠償請求権(国や地方公共団体に賠償を求める)

(40条)刑事補償請求権(抑留・拘禁された人が無罪になった場合、国は補償をしなければならない)

 

人権保障の基本は、一人ひとりの人間をかけがえのない存在として大切にすること(個人の尊重)であり、憲法はそのことを「立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」(13条)と表している。

 

〈公共の福祉による制限〉

憲法は、国民にさまざまな権利や自由を保障しているが、好き勝手にすることを許しているものではない憲法は、権利の主張、自由の追求が他人への迷惑や、過剰な私利私欲の追求に陥らないように、また社会秩序を混乱させたり、社会全体の利益を損なわないように戒めている。

 

憲法に保障された権利と自由は、「国民の不断の努力」(12条)に支えれれ、行使されなくてはならない。憲法では、国民は権利を濫用してはならず、「常に公共の福祉のためにこれを利用する責任」があると定めている(12条)

 

〈新しい人権〉

日本国憲法には直接定められていないが、そこから導き出される権利として「知る権利」「プライバシーの権利」「環境権」などが主張されている。

・知る権利

国や地方に政治に対する情報を求める権利を情報請求権とよび、多くの地方公共団体は情報公開制度を設けている。国も1999年に情報公開法を制定し、知る権利を保障するともに、行政の透明性を高める努力を行っている。

・プライバシーの権利

私的な情報を他人に知られたり、勝手に利用されたりしないための権利。国や公共団体、民間企業、マスメディアには個人の情報を慎重に扱う事が求められ、個人情報保護法が制定された。

・環境権

(13条)生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利(幸福追求権)

(25条)健康で文化的な最低限の生活を営む権利(生存権

この、幸福追求権と生存権から導き出され、人間らしい快適な環境の中で生活する権利として提唱されている権利を環境権という。

具体的には、騒音や振動、日当たり(日照権)やながめ(眺望権)の悪化に対する住民の権利の主張や、タバコの煙を拒否する権利(嫌煙権)など。

1997年:環境影響評価法

大規模な開発や工事にあたっては、自然環境にどのような影響を及ぼすかを事前に調査し、住民に十分説明するように義務付けた。

③国民の義務

憲法は国民の義務として以下を定めている。

・子どもに普通教育を受けさせる義務(26条②)

次世代の子どもたちの人格の完成をめざし、子どもたちが国民として国を担っていくために、必要な最低限の教育を受けさせなければならない。憲法はそのことを親など保護者の義務として定めている。

・勤労の義務(27条①)

納税の義務(30条)

健康状態や能力に応じて働き、そこから得た収入の中から国民生活を運営していくための財源を税金として支払わなければならない。

憲法で国民に勤労の義務を課していることは珍しく、多くの国の憲法では国防の義務を課している。