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教育・仕事・生活

「学び直し中学地理」中部地方

中部地方は、太平洋側の気候の東海、内陸の気候の中央高地日本海側の気候の北陸の3つの地域でそれぞれ特徴的な生活様式や産業が発達してきた。

 

①東海地域

〈東海地域の地形と気候〉

木曽三川木曽川長良川揖斐川が流れる濃尾平野は、昔は河川の氾濫に悩まされる地域だったが、現在では治水が進んだことで住宅地が増え、名古屋市をはじめ、中部地方で最も人口が集中した地域になっている。

 

東海地域は夏に降水量が多く、冬は温暖な気候のため、駿河湾沿いの日当たりのいい丘陵などではみかんの栽培がさかん

 

中京工業地帯

愛知県の内陸部には、豊田市を中心に多くの自動車関連工場が集まっている。この地域は昔は綿花の生産地で、綿織物などの繊維工業が栄え、織物機械をつくる技術が発達した。自動車の生産はその技術を土台に戦前に始まり、戦後大きく発達した。名古屋を中心とした工業地帯は、伊勢湾沿いの臨海部と一体化して発達し、中共工業地帯とよばれる日本最大の工業地帯になっている。また、岐阜県南部や愛知県西部には航空宇宙産業の工場が集まり、新しい産業として注目されている。

 

愛知県の瀬戸市や多治見市では良質の粘土がとれることから、陶磁器の生産がさかんだった。近年では陶磁器生産でつちかった技術を応用して、耐熱性などさまざまな特性をもつファインセラミックスという新素材を生産している。

 

東海工業地域

静岡県西部の浜松市周辺は、天竜川の上流から運ばれている豊富な木材を材料としたオルガンやピアノなどの楽器生産が発達し、国内きってのピアノの産地としての基礎が築かれた。第二次世界大戦中は織物機械や楽器の工場が飛行機部品工場などにかえられ、戦後はその技術を生かしてオートバイや自動車の生産がさかんになった近年では医療機器やスマートフォンなどに利用される光学製品の世界的企業が浜松市に拠点を置いている。

 

静岡県の太平洋沿岸は、浜松市周辺の工場のほか、富士山麓の豊かな水を利用して発達した富士市の製紙・パルプ工業など、多くの工場が集まっており、東海工業地域と呼ばれている。

 

〈東海地域の農業〉

愛知県南部の渥美半島では、温室の中で電灯の光を人工的にあてることで植物の生長を遅らせる抑制栽培の方法で菊が栽培されている。菊は、日照時間が短くなると開花する特性があるため、花の芽ができる前に夜も電灯を照らすことで開花を遅らせ、出荷時期を調整している(電照栽培)

 

渥美半島は、大きな河川がなく、昔は水不足に悩まさていたが、1968年に豊川用水という大規模な用水路が整備され、都市向けに野菜や花などを栽培する園芸農業がさかんな地域に変化した。また、メロンなども、ガラス温室やビニールハウスを用いた施設園芸農業で栽培されている。渥美半島は、暖流の黒潮が近海を流れている影響で冬でも温暖なので、温室の暖房にかかる費用がおさえられるので施設園芸農業がさかんになった。

 

静岡県の牧ノ原や磐田原などの台地では、気候が温暖で霜がおりることが少なく、日当たりと水はけがよいため、茶の栽培がさかんになった。

 

②中央高地

〈中央高地の地形と気候〉

中央高地は海から離れた内陸で標高も高いので、夏と冬、昼と夜の気温差が大きい事が特徴。中央高地の夏は、盆地は気温が上がるが、高原は涼しく過ごしやすいので、長野県の軽井沢町のように避暑地となっているところもある。

 

〈長野県野辺山原のレタス栽培〉

標高1000mを越える長野県の野辺山原は、夏でも涼しい気候を利用した高原野菜の産地になった。国内のほかの産地の野菜が少なくなる時期に出荷したり、夏場のレタス栽培が難しい台湾などに輸出したりして、収益の多い農業を行っている。

 

〈養蚕から果樹栽培へ〉

甲府盆地長野盆地には扇状地が広がっている。扇状地は水田に適さないので、養蚕や、蚕のえさになる桑の畑として利用されていたが、化学繊維の普及により製糸業は衰退した。現在では、扇状地の水はけのよさと日当たりのよさを生かし、果樹栽培がさかん山梨県や長野県は、全国有数のぶどうや桃などの産地に成長した。

 

〈中央高地の工業〉

長野県の諏訪盆地では、製糸業が衰退し始めると、織物機械の修理をしていた技術を生かして機械工業が始められた。戦後はそれらの技術と部品の洗浄に適した水資源を生かして時計などをつくる精密機械工業が発達した。1980年代以降は、高速道路の整備が進んだため、電子部品やプリンタ、産業用ロボなどの電気機械工業の工場が進出した。また、工場でのきのこの大量生産や、寒天の製造など、中央高地の気候を生かして発達した食品の生産でも注目されている。

 

③北陸地域

〈北陸地域の気候と農業〉

北陸地域は、冬は北西から湿気を含んだ冷たい季節風がふきつけ、雪が非常に多いことが特徴。雪が多い北陸の農業の特徴は、稲作の割合が高く、単作で米を作っていること。また、北陸では、米を原料にした米菓やもち、日本酒などをつくる食品工業もさかん。

 

地場産業

北陸では、冬の間の農作業が難しかったため、家の中で作業ができる織物や漆器、金物などの工芸品をつくる農家の副業が古くから発達し、地場産業(古くから受け継がれてきた技術や、地元でとれる原料を生かし、地域と密接に結びついて発達してきた産業)として受け継がれている。新潟県燕市では、江戸時代にくぎづくり始まり、金属加工の技術が発達。現在ではナイフやスプーンなどの洋食器や、様々な金属製品を生産する産地になっている。福井県鯖江では、明治時代に始まった眼鏡のフレームづくりが、国内生産の9割をしめるまでに成長している。