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教育・仕事・生活

「21世紀型スキルの育成③」概念の理解で世界を再構成する

「21世紀スキルを身につけるにはどうすればいい?」を考える上で、「学ぶとは何か?」についても概念を明確にしておいた方が良さそうです。

 

「学ぶ目的」を「知識を身につけること」と捉えると、teachingの発想から抜け出せません。また、「社会に適応するため」と捉えると、生きていくために必要な知識か否かを生徒自身に委ねる、あるいは周囲が強要する事になり、せっかくの学びの機会を奪ってしまうことにもなりかねません。

 

国立教育政策研究所「資質・能力を育成する教育課程の在り方に関する研究報告1」(P27、P55)に記載されている「学ぶ目的」に関する認識は、教育者と生徒双方にとって、学ぶ意欲を掻き立てる重要な認識だと感じました。

 

「学ぶ目的」は「社会を対象化し、それを主体的に再構成すること」「世界について理解を深め、自分たちの信念を変えていくこと」

 

また、国立教育政策研究所のレポートでは、思考力などの資質・能力を用いて学ぶ必要があるのは「概念」であり、それほど必要ではないのは「概念ではない/概念にはなりにくい事実的知識」であるとしています。

 

①「学びの質」とは概念を理解すること

「概念」とは「哺乳類」や「重力」など、世界を理解するために、人類が創造してきた認識のための道具。概念を本当に理解するためには、その概念で人類がどのような問題を解こうとしてきたかを捉える必要がある

 

概念を学ぶことで他の概念も理解しやすくなり、現象の不一致や例外がスッキリ理解できるようになり、新しい考えの道筋を照らしてくれる(「概念の理解は太陽のようだ」byアリストテレス)。

 

従来の内容重視の教育は特定の理論や概念、事実を学習者の「頭」に入れることを教育だと考えていた面があったのに対し、資質・能力教育では、それらを「使って」学習者自身が活動することを通じて世界について理解を深め、自分たちの信念を変えていくことが教育だと考えている面がある。

 

(例)重力

問題解決型の学習をしても、単に「重力」にまつわる体験やエピソードをためているだけでは、重力の概念理解に到達することは難しい。だからこそ、「重力」という概念を使って解くべき「問題」を提示できているか、そのために子供の日常生活をベースとした経験則を超えるような「教材」を与えられているかが重要になる。

 

(例)哺乳類

どんなものが「哺乳類」かを覚え、区別できたとしても、それがどういう生物分類上の問題を解決したかに全くつながらない理解であれば、「道具としての概念」を学んだことにはならない。それではテストで問われた時だけに思い出せる知識になり、子供自身が世界を理解し、世界の問題を扱うための生きた知識にはなりにくい。

 

②概念を理解するための問いかけ(振り返り)

概念を深く理解することを目的とするならば、子ども自身が世界や自己認識の刷新を感じ取ることが重要になる。教える側は「その活動を通して子どもたちが何

を考え、何を理解し、どのような問題が解けるようになり、世界をどのように説明できるようになるか」を明確にする必要がある。

 

教師、生徒双方が、以下のような問に答える(考える)習慣をつける事が有効。

「学んだことが何の役にたつか」

「日常経験ベースの考えを作り変え、世界を新たに理解できるようになったか」

「これまで分からなかったことで、今わかるようになったことは何か」

 

【今日の学び】

学ぶ目的は「社会を対象化し、再構成すること」「自己認識を刷新すること」そのための武器が「概念の理解」。概念の理解を具体的な指導案に反映できるよう、授業構成を見直していきます。21世紀スキルを育むためには、まずは指導する大人自身が、概念を理解し、日々社会と自己の認識を刷新するような学びを実践しているかが問われていると感じています。

 

【参考】

www.nier.go.jp