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アイトラッキングカメラが示す指導技術の改善案_KR情報と横の視点

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2015年〜2019年に実施された少し古い研究成果になりますが、名古屋大学で行われた「アイトラッキングカメラ」を利用した研究は、教師の授業改善のヒントを見出すことができます。

 

アイトラッキングカメラは、授業中の教師の注視点を分析するもので、「初任教師とベテラン教師の注視点の違い」「注視点をもとにした教師へのフィードバックによる授業改善」「注視点と授業満足度の関係」などがまとめられています。

kaken.nii.ac.jp

 

【2015年実施状況報告書より】

ベテラン教師と教職課程履修生の視線の違いとして、ベテラン教師は学習者に多くの注視点が認められるが、教職履修生は指導案などの資料にも視線を落とす傾向が確認された。また、学生の授業満足度が高い講義では「受講生全体を見渡す」「受講生を氏名で指名する」「机間指導」「KR」などの授業スキルが大学の講義スキルとしても重要であることが確認された。

※KR(Knowledge of results)

生徒の反応に対する講師からの正誤判断や励ましの声かけなどの反応。例えば、生徒の発言に対する相槌(なるほど、うんうん、すごい等)やオウム返しがKR情報に相当。

 

【2016年実施状況報告書より】

初任教師と教職歴17年目の教師の比較から、「説明・発問」「指名」時の注視点がベテラン教師は横方向に広く分布していたが、縦方向には優位な差はなかった(説明・発問時の縦方向はわずかな差)。「机間指導」は横方向、縦方向ともに広く分布。ベテラン教師は指名した子どもだけではなく、他の子どももよく見ている可能性と、説明や発問をしながら子どもの反応を広く深く探ろうとしている可能性を示唆している。

 

【研究結果からの考察】

アイトラッキングカメラによるデータ集積からも、講師の横方向の視野の広さと、瞬時の反応(KR情報)が、授業満足度に繋がっていると言えそうです。アイトラッキングカメラを用いなくとも、授業内の視野が狭くなっていないか(横方向に視野が向いているか)、注視する時間や、適切なKR情報の伝達ができているかはセルフチェックできるので、授業内外で意識していきたいポイントですね。