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集団で学ぶ価値①_学力三要素の「分離段階モデル」と「統合モデル」

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国立教育政策研究所の研究成果アーカイブでは、教育にまつわる質の高い研究成果をPDFで無償で閲覧する事ができます。教育にまつわる気になるテーマがあれば検索してみる事をおすすめします。私は、「21世紀スキル」と、その能力を鍛えるための指導方法について調べていた時に、このアーカイブが非常に参考になりました。閲覧したのは平成27年の研究報告書「資質・能力を育成する教育課程の在り方に関する研究報告書〜使って育てて21世紀を生き抜くための資質・能力〜」です。この研究報告書をもとに、集団で学ぶ価値について検討していきます。

 

【学力三要素の「分離段階モデル」と「統合モデル」】

仮に学力三要素を「意欲・態度」「知識・技能」「思考・判断・表現」と定義します。「意欲・態度」が土台にあって、「知識・技能」「思考・判断・表現」がピラミッド上に積み重なっていくイメージが「分離段階モデル」です。一方、この三要素が相互に影響を与え、一体化しているイメージや、スパイラル状に繋がっているイメージが「統合モデル」です。「統合モデル」では、「意欲」が現実問題や他者から与えられた問いをきっかけとした「思考」がきっかけなって発現する事例が紹介されています。

 

【知識が先か?思考が先か?】

「知識が先か?思考が先か?」この問いがどちらも極端であることが、次のような事例で示唆されています。「泳げるまで水に入らない」「プールに入っていれば泳げるようになる」。知識と思考に相関関係があるのは誰もが感じるところだと思いますが、報告書では「知識とは何か?」「思考とは何か?」「知識と思考の関係」「知識と思考/思考と知識の順序性」について、研究成果が整理されています。

 

【分離段階モデルの源泉:ブルーム・タキソノミー】

ブルームは、教育目標を下位から順に「知識(後に記憶)」「理解」「活用」「分析」「統合」「評価」という階層で定義し、授業や教育の目標を意識することに役立てられました。しかし、その後ブルームの考え方には多くの批判がなされています。

(批判1)知識の捉え方

知識はキャビネットにファイルを入れるように次々バラバラに暗記していきえるような薄っぺらなものではなく、膨大なネットワークの世界で課題や状況によってある部分が活性化したり、他の部分と大部分につながったり組変わったりするもの。「一塊の知識を丸ごと覚えたら、初めて考えることができ、その後は安定して問題が解ける」という図式は成立しにくい。

(批判2)階層の設定の仕方

記憶研究においては、「理解」した方が記憶が進むことが多くの実験で明らかにされている。また、「活用」の文脈で学んだ方が「理解」や「記憶」が進むこともよく知られている。逆に、理解しないままの「記憶」や、使う当てのない状態での「理解」や「記憶」は人は苦手であることも見えてくる。

 

「意欲」さえあれば多様な学びが安価に享受できる時代。集団授業の価値を検討し、価値のある授業を実践するためにも「意欲はいかにして芽生えるのか」「意欲が萌芽するきっかけとなる授業とは何か?」「知識を身につけるにはどのような授業が効果的か」「知識とは何か」を引き続き検討していきます。

nier.repo.nii.ac.jp