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集団で学ぶ価値②_概念とビッグアイデア

f:id:manabilife:20220102001257p:plain「資質・能力を育成する教育課程の在り方に関する研究報告書1」第4章3節では、「教科等の内容の学びを深めるために、資質・能力を使って内容に関する知識を学んで結びつけると、一段上の概念的な理解が可能になり学びが深まる」としています。同時に、「ディープアクティブラーニング(深く能動的な学習)」を体現した授業を作るにはどうすればいいかという問いを立てています。

 

学習を通じて「生徒が何を身に着けることを目標にするか」に対する答えは、「知識」「概念」「資質や能力(思考力)」など様々な答えが考えられると思います。指導者が何を指導のゴールと捉えるかは、指導内容や方法に関わる根幹をなすと思います。まずは、「知識とは何か?」「概念とは何か?」「知識と資質や能力の関係は?」について整理していきます。

【2種類の知識】

報告書では、「資質・能力(思考力)を用いて学ぶ必要がある知識」と「それほど必要としない知識」を、「概念」と「概念にはなりにくい事実的知識」として区別しています。また、「自分の学んだことがなんの役に立ったのか」「自分の日常経験ベースの考えを作り変え、世界を新たに理解できるようなったのか」という世界や自己認識の刷新を感じ取る事。つまり「進歩」を引き起こすことができるような内容が「深まりやすい内容」と提示しています。「ある概念で人類がどのような問題を解こうとしてきたか」「文化的な財産、あるいは過去の問題解決の道具として概念を学ぶこと」つまり、「それが生み出された問題状況を理解すること」を概念理解の第一歩としています。

 

【教育の目的の転換と指導方法の示唆】

内容重視の教育は、特定の理論や概念、事実を学習者の「頭」に入れることを教育だと考えていた面があったのに対し、資質・能力教育では、学習者自身が資質・能力を使って活動することを通じて世界について理解を深め、自分たちの信念を変えていくことが教育と考える面がある。学習の目的を「その活動を通して子供たちが何を考え、何を理解し、どのような問題を解けるようになり、世界をどのように説明できるようになるか」と捉えると、以下の問いを考える習慣をつけることが有効になると考えられる。

「世界を理解するための道具をどの程度入手できたか」

「自分たちの理解がどこまで進んだか」

「これまで分かっていなかったことで、今わかるようになったことは何か」

「前はどう考えていたのか」

「これはその先にどのような探求の世界を開くのか」

 

【基本概念とビッグアイデア

子どもたちが学ぶ大事な概念を「ビッグアイデア」と呼ぶ動きがある。例えばオンタリオ州では、「基本概念」と対応する形で、基本概念を内容で具体化し、児童が自分たちの日常や社会生活に結び付けられる形で「分かっておいてほしいこと」を記述したものになっている。

(例)科学と技術

(基本概念)

・エネルギー

・システムと相互作用

・持続可能性と責務

(ビッグアイデア

・電気エネルギーは、他のエネルギーに変換可能である。

・他のエネルギー形態は、電気エネルギーに変換可能である。

・社会において電気エネルギーは重大な役割を担っており、その生産は環境にインパクトを与えている。

・エネルギー生産が環境に与えるインパクトを最小限にする方法を社会は見つけなければならない。

 

【ここまでの学び】

授業内容を検討する際に、授業で扱う「概念」と「ビッグアイデア」を想定する事はすぐに取り入れることができる。そのうえで、扱う「素材」と「問い」が非常に重要になると考えられる。「その概念によって、当時の人々がどのような問題を解決することができたのか」「その概念によって、世界をどのように説明できるようになるのか」まずは指導者自身が学び、思考を巡らす必要があるといえそう。このような授業が実現できれば、ただ単に単純知識を詰め込むだけの授業とは全く異なる授業になることが予想できる。また、生徒の出す結論は指導者の想像を遥かに超えたものになる事が多々あり、指導者を驚かせ、感動させる授業が繰り広げられる事も容易に想像できる。生徒一人一人の学びを共有することができ、相互に世界観を共有・深化していく事ができるのが集団で学ぶ価値と言えそう。

【参考】

nier.repo.nii.ac.jp