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集団で学ぶ価値④_「深い理解に至る対話の条件」対話を活かした授業とは?

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集団で学ぶ価値②で学んだ「概念」と「ビッグアイデア」という認識は主に授業内容、③で学んだ「前向きアプローチ」は主に授業後の生徒状態つまり目指すべきゴールに関するものでした。今回は、授業スタイルと生徒の理解の関係について学んでいきます。集団で学ぶ価値として真っ先に浮かぶのが「対話」です。しかし、各生徒が思い思いの発言をする授業では、一見活性化してみえたとしても理解を深める事には繋がりません。「授業対話を取り入れる価値」「対話と理解の関係」について、「資質・能力を育成する教育課程の在り方に関する研究報告書1」では多くの示唆に富む実践事例や考察を提示してくれています。

 

【深い理解に至る対話の条件】

一般に深い理解に至るような場面には次の条件がある。

①参加者の間で答えを出したい問いや対話のゴールが共有されている

②互いの考えや考えの間の違いが見えやすい

③考え方の違いが尊重され、各自が違う考えを何度でも見比べ、自分なりにまとめ、納得できる答えを見つける機会が保証されている。

 

【対話と理解の関係】

対話によって人がどのように理解を深めて学んでいくかは多くの研究者が調べている。

①自分の考えが他人から同意を得られなかったり、他人の考えと違っていたりすると、他人にわかってもらおうとして視野を広げ、理解を深める。

②協調場面では、考えを話したり問題を解いたりする「課題遂行者」と、考えを聞いたり解決を見守ったりする「モニター」との間で役割分担が自然に発生する。課題遂行者の視点は問題を解くために狭くなりがちだが、モニターはその内的な過程を完全には共有できないからこそ、少し大局的な視点で見守ることができ、それが二人の視点の抽象度を上げ、視野を広くする。

③例えば、3人の違いが一人一人の考えの再考・再吟味を迫ることで知恵が生まれる。

 

【対話を活かした授業】

次のような協調学習で、質の高い知識が定着するだけでなく、次の学習につながる疑問、学習意欲が生じやすいという効果が得られている。

①子どもたち自身が経験則と原理原則をつなぐために、共通に解きたい問いに対して、まずは自分たちの考えを外化する。

②「一人一人の考えが多様である」の考えの違いを確かめ、違う考えもまとめて納得できるような答えを求めて一人一人が考えを表現し、互いの表現を聞き合いながら、答えを作り直していく

※すべての授業で協調学習を取り入れる必要はなく、「深く理解してほしいこと」がある場合などに狙って行えば良い。

※幅広い知識を短時間に伝達したい場合は、講義の方が有効なこともある。

 

【ここまでの学び】

対話による理解の深まりについて「課題遂行者」と「モニター」双方に理解を深める要素がある事が大きな気づきでした。確かに、課題遂行者(発言者)の話を周囲がしっかり聞いている授業は「解決すべき問題が明確に共有」されており、「モニター」が抽象度を上げながら話を聞いている様子を感じ取れる場面が多いです。ただし、協調学習が効果的と感じるのは現状10人以下の少人数の場面が多く、15〜40人程度の集団授業になった場合に、かける時間に見合った協調学習が実践できるかが重要になると考え得ています。

 

【参考】

nier.repo.nii.ac.jp