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基本概念を学ぶ世界史_ギリシア世界②_リュクルゴスの制

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【問題】

奴隷の反乱を抑止するにはどうすればいい?

【問い】

①その概念が生まれた背景は?

・「奴隷」の反乱抑止のため、まずは「市民団の団結」を重視。

・市民団の平等と軍国主義的規律によって「市民団の団結」を強固にした。

②その問題が生まれた背景は?

・「スパルタ」ではドーリア系1万人をはるかに超える「奴隷」を従えていたため、彼らの反乱の抑止が課題に。

③その概念によってどのような問題が解決し、その後どうなったか?

・リュクルゴスの制をBC6世紀半ばまでに完成したスパルタ市民団は、厳しい軍国主義的規律に従って生活し、ギリシア最強の陸軍国を作り上げた。

・リュクルゴスの制は対外征服戦争ではなく、国内のヘイロータイという不安要因解消のためのものだったため、一国でギリシア全土を支配するには至らなかった。

【基礎知識】

・ポリスの住民は自由人の「市民」と、これに隷属する「奴隷」からなる。

・市民には血統を誇る富裕者の「貴族」と、「平民」に分かれていたが、「貴族」と「平民」は平等が原則だった。

・ポリスは城壁で囲まれた「市域」と周辺の「田園」から成り立ち、「田園」には「市民」たちの所有地である「持ち分地(クレーロス」)があった。

・「市民」の大多数はクレーロスで奴隷を使って農業を営んでいた。

・「アテネ」では総人口の3分の1が奴隷。

・「スパルタ(ドーリア系)」では1万人足らずの市民が、はるかに多数の非ドーリア系の被征服民を奴隷身分として農業に従事させた。

・スパルタでは農業に従事する奴隷を「ヘイロータイ」、中心市スパルテの周辺に住まわせ商工業に従事する劣格市民(身分は自由人だが国政には参加できない(を「ペリオイコイ」といった。

 

※リュクルゴスの制

・男子は7歳から親元を離れて兵営で集団生活をしながら軍事訓練。

・食料を持ち寄って共同食事をするが、食料を持ち寄れないものは市民身分から転落。

・市民団内部の経済的平等を徹底するため貴金属の貨幣の使用を禁止。

・持ち分地を公平に再分配。

・他国の影響で市民団の結束が崩れないよう、他国との自由な行き来や交易を禁止した鎖国政策。

・2人の王が並立し、軍事指揮権以外の実権を持たない。

・市民から選挙された5人の監督官と長老会(選挙で選ばれた60歳以上の男子28人)が最高権力を保持(貴族制ポリス)。

 

【重要事項】

少数の「市民」が多数の「奴隷」を従える「ポリス」では、奴隷の反乱をいかにして抑止するかが重要な課題だった。スパルタでは、奴隷反乱の抑止力として「市民団の団結」を強固にすべく「リュクルゴスの制」が敷かれた。リュクルゴスの制による、「厳しい軍国主義」「市民団内部の平等」「鎖国政策」によって「市民団の団結」が維持された。しかし、「リュクルゴスの制」は、対外征服戦争のためではなく、内部の不安要因である「奴隷対策」という側面が強かったため、「スパルタ」がギリシア全土を支配するには至らなかった。