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基本概念を学ぶ世界史_ギリシア世界⑫_オリンポス12神

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【問題】

超越的な事象を納得させるにはどうすればいい?

【基礎知識】

ギリシアのポリスは市民が対等に議論できる精神風土。

・超越的な権力が存在しない市民共同体。

ギリシアの神々は人間と同じ姿や感情を持つ。

・「オリンポス12神」はときに嫉妬や悪意で行動する。

ギリシアの宗教は共同体のための宗教。

・神々を祀り、供犠や祭典を執り行うのは国家の重要な行事。

ギリシアの宗教には競技や経典がない。

・神官には国家を動かす権力はない。

【問い】

①その問題はどのような背景で生まれたか?

ギリシアのポリスは市民共同体として対等な議論がなされていたため、統合するための協力な一神教は不要だった。

・当時の科学では解明(納得)できない事象は数多く存在。

・「オリンポス12神」をもとにした行事や芸術が数多く誕生し、ギリシア市民の楽しみの1つに。

②その概念によってどのようにして問題が解決したか?

・神域であるデルフォイでは植民地建設や法定制定、宣戦布告の前などに神託を受けて最終決定を下した。

・毎年春に酒の神「ディオニソス」に捧げて行われる「ディオニュシア祭」では、悲劇や喜劇のコンテストが行われ、これを鑑賞する事はギリシア市民の義務であり、楽しみだった。

③問題解決後どうなったか?

・神々と人間との関わりをうたった叙情詩(物語や出来事が記述された韻文)が生まれる

(例)ホメロスの「イリアス」「オデュッセイア

   ヘシオドスの「神統記」

・自然現象を神話ではなく、合理的根拠で説明するイオニア自然哲学」も発達。

三大悲劇詩人アイスキュロスソフォクレスエウリピデス、喜劇作家のアリストファネスなどが生まれる。

 

【現代への活用】

ギリシアの宗教や神々は、支配階級の神権政治の基盤としてではなく、ポリス市民団の団結や世界観を整合させるために生まれた。多くの芸術家の手も加わりながら練り上げられ、娯楽の要素も併せ持つ点で、土着の祭りが多く残る日本人の感性とも親和性が高そう。教義がないにも関わらず、今なお世界中で「オリンポス12神」の神話が語り継がれていることからも、多くの人々の精神に深く根ざしている宗教の1つと言えそう。

「市井からの土着的宗教」と「統合者による神権政治」の対比は、各地の市民感覚を紐解く鍵になりそうなので、是非継続して学んでいきたい。

 

【基本概念の学び方についてはコチラ】

manabilife.hatenablog.com

【参考教材はコチラ】