【問題】
無産市民の支持を得るにはどうすればいい?
【基礎知識】
※騎士
平民のうち、富裕なものには騎士身分が与えられ、彼らは元老院議員が禁じられていた海外貿易などの商業に従事し、属州で徴税請負人として属州民がから収奪するなどして莫大な財産を築き、第二の支配階層を形成した。
【問い】
①その問題はどのような背景で生まれたか?
・中小農民が兵士として長期の征服戦争に出征している間に農地は荒廃し、農業が成り立たないようになっていった。
・農民たちは没落し、農地を手放して都市ローマに流入して無産市民となった。
・無産市民は属州から大量に輸入される安い穀物で生活。ローマ市民権の恩恵を受けてていたため一層の征服戦争を望んだ。
②その概念によってどのようにして問題が解決したか?
※パンと見世物
無産市民は民会の投票権をもっているので、政治家たちは彼らの票を得るために安価な穀物や金品を与え、見世物を催すなどした。
③問題解決後にどうなったか?
・ローマの支配階層である元老院議員や騎士身分は、農民が手放した土地を買い集め、戦争捕虜である奴隷を多数働かせて商品作物を栽培させた(ラティフンディア)。
・土地や奴隷が富裕者に集中し、貧民も征服戦争の恩恵に預かる傾向が強くなっていたため、征服戦争は双方に望まれ、拡大していった。それとともに、貧富の差も拡大していった。
【現代への活用】
ローマ支配層は、「パンと見世物」によって無産市民の票を集め、自らの既得権益を維持していたが、結果的に貧富の差はさらに拡大。安価な食料確保のための侵略戦争も継続し続ける事はできずその場しのぎの政策だったと言わざるをえない。現在議論されている「ベーシックインカム」の議論も、ローマの「パンと見世物」と重なる。票集めの道具として使われ、結果貧富の差が拡大し、反発と破綻が訪れないよう検討していく必要がありそう。
【基本概念の学び方についてはコチラ】
【参考教材はコチラ】