【問題】
タンパク質はどのように合成されているの?
【基本概念】
【基礎知識】
※タンパク質の種類はヒトでは10万種類程度(多数のアミノ酸が鎖状に繋がった分子)
(例)
・コラーゲン(組織や器官の構造の維持)
・アクチン(筋肉の収縮にはたらく)
・ヘモグロビン(酸素の運搬にはたらく)
・ホルモン(特定の組織や器官のはたらきを調節する)
・フィブリン(血液凝固に関係)
※RNAの構造
RNAはリン酸、糖、塩基からなるヌクレオチドが構成単位となっており、DNAとは異なり1本のヌクレオチド鎖でできていて、長さも短い。RNAは塩基3個の配列で1個のアミノ酸を指定しており、この塩基3個の配列をコドンという。
※遺伝子が発現する過程
②転写られたRNAの塩基配列がアミノ酸の配列に読み替えられる(翻訳)
※転写の流れ
①DNAの2本鎖の一部がほどけて塩基同士の結合が切れる。
②ほどけた部分でDNAのヌクレオチド鎖の塩基にRNAのヌクレオチドの塩基が結合する。
③隣り合うヌクレオチド同士が連結され、DNAの塩基配列を写し取った1本鎖のRNAができる(転写されたRNAをmRNAという)。
※翻訳の流れ
①核内で合成されたmRNAが細胞質へ出ていき、その一端にリボソームが付着。
②リボソームが付着したmRNAのコドンに対応した塩基配列(アンチコドン)のtRNAが結合。
③tRNAによって指定されたアミノ酸と結合し、tRNAはmRNAと離れる。
【問い】
①その問題が生まれた背景は?
・タンパク質はDNAの遺伝情報にもとづいて合成されるが、どのようにしてDNAの遺伝情報からタンパク質が合成されるのかを解明したい。
②その概念によってどのようにして問題が解決したか?
・クリックは細胞が持つ遺伝情報はDNA→RNA→タンパク質の順に一方的に伝達されると考え、遺伝情報が一方的に伝達されるとするセントラルドグマと呼ばれる考えを提唱した(1958年)
③問題解決後にどうなったか?
・なぜDNAから直接タンパク質が合成されずに、RNAを仲介するのかは未だ解明されておらず様々な説がある。1つの説として、38億年前の太古の生物は遺伝情報をRNAに保存していたのではないかという説が有力。
【学びの活用】
【参考】
【学びの活用】
DNA→mRNA→tRNA→タンパク質という一見複雑に見えるタンパク質の合成。太古の生物が遺伝情報をRNAに保存していたという説から考えると、細胞内共生同様、38億年前に誕生した太古の生物からの進化積層体として今の人類が存在している事を感じさせる。