啓林館の「未来へひろがるサイエンス3」では、遺伝子とDNAについて、次のような説明があります。
(P17)遺伝するそれぞれの形質のもとになるものを遺伝子という。遺伝子は、細胞の核内の染色体にある。
(P24)細胞の核内の染色体には、遺伝子が含まれている。これまでの研究から、遺伝子の本体はDNA(デオキシリボ核酸)という物質であることが、明らかになっている。
入試に向けては、「遺伝子」とは形質のもとになるもの。「DNA」は遺伝子の本体。という説明になると思いますが、ちょっとイメージしづらいので調べてみました。
①染色体
染色体はヒストンと呼ばれるタンパク質にDNAが巻き付いた棒状の固まり。つまり、染色体は、DNAがタンパク質に巻き付いたもの。ヒトの場合、一つの細胞の中に22対の常染色体と、1対の性染色体の計46本。性染色体は、女性が2本のX染色体なのに対し、男性ではX染色体とY染色体。
※ギムザ液というアルカリ性の染色液によく染まることから染色体と名付けられた。
②DNA(デオキシリボ核酸)
「アデニン(A)」「グアニン(G)」「シトシン(C)」「チミン(T)」といった塩基と呼ばれる物質がおよそ30億並んだもの。
DNAのところどころに遺伝子があるが、遺伝子はDNA全体の2%程度。残りの98%は今まで、「ジャンク(がらくた・ゴミ)」と呼ばれていたが、最新の研究では、この98%の中に「姿形、性格、才能など、様々な個性を決める重要な情報」が潜んでいることが明らかになってきた。また、「病気から身を守るDNA」も見つかり始めている。
③遺伝子
生物のからだを形作っている細胞では、主にタンパク質が中心に働いている。そのタンパク質の構造にかかわる暗号部分と、その暗号の読み取りを指令する部分が遺伝子。
それぞれが持っている暗号部分に従って、筋肉や体内でいろいろな働きをする酵素や、ホルモンなどのさまざまなタンパク質がつくられる。
遺伝子はは、体にとって必要なものを作り出す「設計図」の役割を果たしている。
2018年9月に、米ジョンズ・ホプキンス大学の研究で2万1306個と発表された。遺伝子は、DNA全体から言えば2%程度にすぎない。
DNAの解明やiPS細胞を利用した医療の発展など、毎年変化が大きい分野なので、授業で遺伝を扱う際には、最新の情報を調査しながら、生徒の意欲喚起につなげていきたいと考えています。
参考
産総研・サイエンス・タウン 未来の科学者のために 「遺伝子の正体」