新井紀子氏の著書「AI vs 教科書が読めない子どもたち」によると、「読解力」と「偏差値」には極めて高い相関があるといいます。
しかし、「通塾」「学習時間」「読書」など、一見読解力と相関がありそうなデータと読解力には相関が見られないそうです。また、読解力を養うための有効な方法論は今のところないとも。
新井氏が開発した読解力テスト(RST:リーディングスキルテスト)を利用し、読解力の育成指導に力を入れている埼玉県戸田市では、平成29年度の戸田市教育研究収録にて、読解力育成のための取り組みとして以下を提示しています。
○比較的長い文章を読み取り、自分の考えをかく活動を設定する。
○『条件不足・条件過多』の問題文を提示する。
○文章を読み取り考えていく過程で、読み取ったことを整理するため図的表現を用いるようにする。
○主語が書かれていない文章は、教師が意図的にその文章の主語を問うたり、補うように指示したりする。
また、「視写する能力」と「RSTの結果」を関連付ける実証研究も進んでいるそうです。新井氏も自ら読解力を高める授業の模擬授業を公開しています。
読解力を鍛える方法論・指導法の確立は急務であると考えます。以下に、読解力育成の実践事例・参考例を紹介します。
読解力を鍛える方法論その1:精読
「銀の匙」を3年間かけて読み解く授業で有名な橋本武氏。「国語ゼミ」で提示された佐藤優氏の読解力育成法。教科学習を通じて読解力を育成する研究などに共通している読解力育成のキーワードは「精読」です。
jyukukounomanabi.blog.so-net.ne.jp
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読解力を鍛える方法論その2:書く
橋本武氏が授業で重視していたのは書く事。また、横浜市で国語専門塾を運営している福嶋隆史氏も、読解力をつけるには自ら書く事が重要としています。福嶋氏は、論理的思考力は3つの力(いいかえる力・くらべる力・たどる力)に分ける事ができ、この3つの力に関わる接続語を使いこなして文章を書くトレーニングを推奨しています。
読解力を鍛える方法論3:感化
橋本武氏の授業は、自らの「銀の匙教材研究」を生徒に追体験させるもの。佐藤優氏は、自らの読書体験と、影響を受けた人との関係を紹介しています。
読解力を強化する具体的方法論について、引き続き調査していきます。