【問題】
広域に渡る支配地域の統合をどうする?
【基礎知識】
・ローマは重装歩兵軍を中核としてBC3世紀に全イタリア半島を支配。
・ローマ人は征服した土地をローマ市民に分け与えて植民市を建設。
・ローマの植民市は奪った土地をローマの領土に組み込んだ。
・征服された都市が存続を許された場合は個別にローマと同盟を結ばされ、「投票権のないローマ市民権を与えられる都市」「投票権のないラテン市民権を与えられる都市」「市民権のない同盟市の地位を与えられる都市」など、それぞれ異なる権利と義務を与えられた。この統治の方法を分割統治という。
【問い】
①その問題が生まれた背景は?
・領土拡大の征服戦争後の支配地域の反抗を抑制する必要があった。
②その概念によってどのような問題が解決したか?
・分割統治によって、被支配者はより良い地位を望んでローマに協力するように仕向けられ、団結と反乱が巧みに予防された。
・ローマ市民権を比較的寛容に被支配者に分け与えたので、広い領域を支配することに成功した。
③問題解決後にどうなったか?
・イタリア半島を統一して強大化したローマは、フェニキア人植民市カルタゴの勢力と衝突。3回にわたるポエニ戦争でカルタゴを滅亡に追いやった。
・BC146年にはマケドニアとギリシア初ポリスを支配下におき、地中海全体をほぼ制覇し帝国主義的支配者としての地位を確立した。
【学びの活用】
ローマ市民への土地の分配のために侵略戦争が不可避だったローマ。広域支配の秩序維持において重要課題の1つは反乱の抑止だが、「権利」の付与は抑止力になる一方、既存の「ローマ市民」の反発の火種にもなりかねない。「支配地域への権利の付与」は「既存ローマ市民の生活維持・向上」とセットで成立する。領土の拡大は一見、統合階級の権力拡大に見えるが、実態は市民の影響力が増大する中で、相対的に統合階級の権力が衰弱した結果と考えることもできそう。
【基本概念の学び方についてはコチラ】
【参考教材はコチラ】